体の修復工事は、眠っている間に進みます。
夜のスマホは、その工事を遅らせてしまいます。
「痛いところが気になって、寝る前に検索してしまう」
そんな方は多いと思います。一日の終わりに、少しだけ自分の時間がほしい。その気持ちは、とてもよく分かります。
ただ、長引く痛みやしびれで通院中の方には、当院では「夜のスマホを少しお休みしましょう」とお伝えしています。
目が悪くなるから、という一般的なお話ではありません。傷んだところが新しく作り直されるのは、おもに眠っている間だからです。
甘いもの、コーヒーに続く「引き算」の3回目は、夜のスマホのお話です。理由は、大きく3つあります。

① 目からの強い光で、脳のセンサーが敏感になる
センサーが敏感になると、小さな違和感を「強い痛み」として受け取ってしまいます。
暗い部屋で画面の強い光を見つめると、目を通して感覚神経(体の外の情報を脳に伝える神経)に大きな負担がかかります。
目や耳などの五感は、もともと危険をいち早く察知するためのセンサーです。光の刺激が続くと、脳は「何か起きている」と身構えてしまいます。
その状態では、修復の途中に出るわずかな違和感や、治りかけの痛みまで、脳が大きく受け取ってしまいます。
「日によって痛みが違う」「夜になると痛みが気になる」という方は、五感からのストレスが関係していることがあります。

② 「眠るためのホルモン」が出にくくなり、体が休むモードに切り替わりにくい
脳が「まだ昼間だ」と勘違いして、緊張したまま布団に入ることになります。
まわりが暗くなると、脳は「メラトニン」というホルモンを出します。眠りと体内時計を整え、お体を休むモード(副交感神経が働く状態)へ導く役目です。
ところが夜に画面の光を浴びると、脳は「今はまだ昼間だ」と受け取り、このホルモンを出すのをやめてしまいます。
その結果、緊張モード(交感神経が働く状態)のまま布団に入ることになり、自律神経のバランスが乱れやすくなります。
「布団に入ってもなかなか眠れない」「眠りが浅い」という方は、まずここを疑ってみてください。
🔍 当院でよくあるお話
「朝起きたときがいちばんつらい」という方に、寝る前の過ごし方をうかがうと、布団の中でスマホを見てから眠る、という方が少なくありません。眠っている間に修復が進んでいれば、朝は一日のうちで楽な時間になるはずなのです。
③ 眠りが浅くなり、「修復の時間」が短くなる
傷んだ組織が作り直されるのは、横になって重力から解放されている睡眠中です。
傷ついた神経、椎間板(背骨の間のクッション)、筋肉などの組織が新しく生まれ変わるのは、布団の上で横になり、重力から解放されている眠っている間です。
起きて動いている間は、体は「支える」ことに力を使っています。修復にまわせる力が増えるのは、横になったときだけです。
夜のスマホで眠りが浅くなると、施術で背骨を整え、脳と体の通り道をつないでも、おうちでの修復工事が進まず、回復が遅れてしまいます。
施術は「工事の準備」。実際の工事は、眠っている間にお体が自分で進めています。

もうひとつ:布団の中での「症状の検索」が、脳を疲れさせる
夜、布団の中で「この痛みの原因は何だろう」と検索してしまう方は、とても多いです。
ネットには、不安をあおる記事や、重い病気を思わせる情報がたくさんあります。それを寝る前に読むと、脳は考えごとと不安で、さらに疲れてしまいます。
不安で疲れた脳は、感覚のセンサーをいっそう敏感にします。すると痛みが気になって、また検索してしまう。この繰り返しが、症状を長引かせることがあります。
気になることは、検索するより、次の来院のときに聞いてください。「こんな記事を読んで不安になった」というお話も、そのまま聞かせてください。
■ 今日から自分でできること
スマホを「捨てる」必要はありません。寝る前の時間だけ、少し「引き算」を。
◆ スマホの「寝る場所」を、布団から離す
枕元ではなく、手の届かない棚や、別の部屋に。目覚まし時計を使えば、スマホを枕元に置く理由がなくなります。
「見ないようにがんばる」より、「手が届かない」ほうが、ずっと楽に続きます。
◆ 布団に入る30分前に、画面を閉じる
最初から1時間は難しいので、まず30分から。部屋の明かりも少し落とすと、脳が「夜だ」と受け取りやすくなります。
その時間は、白湯を一杯飲む、軽く体を伸ばす、本を読むなど、画面を見ないことに使ってみてください。
◆ 「週に3日できたら合格」のルール
毎日は続きません。週に3日、寝る前のスマホをお休みできたら、それで十分です。
これまで努力してきた方ほど、「できなかった日」を責めてしまいがちです。できなかった日があっても、大丈夫です。
✻ ひとつだけ気をつけていただきたいこと
眠る時間の目安は7時間です。ただ、「昨日は6時間しか眠れなかったから、今日は痛いに違いない」と、その日の感覚だけで判断しないでください。お体の中の変化は、自覚より先に、検査の数字に出てくることが多いです。
当院では、こう見ています
寝る前の過ごし方も、初回の検査でうかがうことのひとつです。
眠りの時間と質は、初回の10項目82ヶ所の検査でうかがうことのひとつです。
感覚神経の反応や自律神経の状態を確かめながら、「この方には、何をお休みしていただくと回復が早まるか」を、その時の状態に合わせてお伝えしています。
夜のスマホの引き算は、そのうちのひとつ。自己治癒力を下げる4つの習慣の中でも、寝る前の過ごし方は、変えたときの手ごたえが分かりやすいものです。
「毎晩、布団の中で1時間は見ていたけど、大丈夫だったかな」。そんなお話も、そのまま聞かせてください。

初回は10項目82ヶ所の検査を含めて約75分です
こぼり治療室 院長 小堀 健
(はり師・きゅう師 ケアマネジャー)
※感じ方や経過には個人差があります。強い不眠が続く場合は、医療機関にもご相談ください。
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